密度関数の意味

「高さ」ではなく「面積」で確率を考える

難易度 Lv 4 / 10想定時間:約20

できるようになること


「密度」とは何か

「人口密度」という言葉を聞いたことがあると思います。 例えば「東京の人口密度は約6000人/km²」のような表現です。

これは「1km²あたり平均6000人いる」という意味であり、「ある1点にいる人数」を表しているわけではありません。 人数を求めるには、面積に密度を掛けます。

確率密度関数の「密度」も同じ考え方です。 グラフの高さを確率だと思いがちですが、確率に対応するのは高さではなく面積 です。

確率密度関数とは何か

連続型確率変数 XX について、確率密度関数(probability density function, PDF)f(x)f(x) は次の性質を満たす関数です。

  1. どの点でも0以上:f(x)0f(x) \geq 0

  2. 全体の面積が1:

f(x)dx=1\int_{-\infty}^{\infty} f(x) \, dx = 1

  1. 区間の確率は、その区間の面積:

P(aXb)=abf(x)dxP(a \leq X \leq b) = \int_{a}^{b} f(x) \, dx

f(x)f(x) は確率ではない(単位で確認)

確率は「無次元(単位なし)」です。一方で、f(x)f(x) には単位が付きます。 ここを押さえると、f(x)f(x) を確率と混同しにくくなります

P(aXb)=abf(x)dxP(a \leq X \leq b) = \int_a^b f(x) \, dx を、単位の観点で見ます。

意味単位の例(XX が cm のとき)
dxdxxx 方向の「幅」cm
f(x)f(x)1単位あたりの確率の集まり方1/cm1/\text{cm}
f(x)dxf(x)\,dxdxdx の区間に入る確率(近似)(無次元)

例えば身長(cm)の確率密度関数なら、f(x)f(x) の単位は 1/cm1/\text{cm} です。 幅 Δ\Delta(cm)の区間の確率を考えるときに、

P(xXx+Δ)f(x)ΔP(x \leq X \leq x + \Delta) \approx f(x) \cdot \Delta

の形で「確率(無次元)」が計算できる、という意味です。

したがって f(170)=0.05f(170) = 0.05 なら、170cm 付近の幅 Δ\Delta の短い区間に入る確率は、およそ 0.05Δ0.05\DeltaΔ\Delta は cm)になります。 f(170)f(170) 単独で「確率」と読むのではなく、区間とセットで読む のがポイントです。

f(x)f(x) が1を超える例(面積が1なら問題ない)

f(x)f(x) は確率そのものではないため、1を超えることがあります。 確認すべきなのは「全体の面積が1かどうか」 です。

例えば、区間 [0,0.5][0, 0.5] で一様な分布を考えます。このとき確率密度関数は f(x)=2f(x) = 2 になります。

00.52dx=2×0.5=1\int_{0}^{0.5} 2 \, dx = 2 \times 0.5 = 1

高さは2で1を超えていますが、面積(確率)は1に収まっています。 「高さが1を超えるか」ではなく、「面積が1になっているか」を見ます。

確率密度関数のグラフを読む

確率密度関数のグラフでは、次の対応関係で読みます。

  1. 山が高い付近:その付近に確率が多い
  2. 山が低い付近:その付近に確率が少ない
  3. 区間の確率:その区間の面積

確率密度関数のグラフ

確率密度関数を読み取るときは、次の3点を確認すると整理しやすいです。

分布関数との関係

分布関数 F(x)=P(Xx)F(x) = P(X \leq x) と確率密度関数 f(x)f(x) には、次の関係があります。

分布関数は「左側から xx までの面積」:

F(x)=xf(t)dtF(x) = \int_{-\infty}^{x} f(t) \, dt

分布関数の増え方(傾き)が確率密度関数:

f(x)=F(x)f(x) = F'(x)

まとめ

確率密度関数 f(x)f(x) は、確率そのものではなく「1単位あたりに確率がどれくらい集まっているか」を表します。 区間の確率は abf(x)dx\int_a^b f(x) \, dx という面積で求めます。

f(x)f(x) には単位があり、1を超えることもあります。 判断は「全体の面積が1かどうか」 で行います。

分布関数 F(x)F(x) との関係は次の2式で押さえてください。

F(x)=xf(t)dt,f(x)=F(x)F(x) = \int_{-\infty}^{x} f(t) \, dt, \qquad f(x) = F'(x)